LEXUSミラノデザインウィーク2018

市川創太がLEXUSミラノデザインウィーク2018のデザイナーとして起用されました.

https://lexus.jp/brand/lexus-design/design_events/

新井崇俊もこのプロジェクトのメンバーとして参画しました.

メイン会場(16.86m×14.66m)のインスタレーションでは,部屋の中心に設置された(上下に3m)昇降するレーザーからの光に対し,天井から吊るされた11,603本のストリング(ナイロン製直径0.3mmの糸)全てが,他のどのストリングの影にもならないように各ストリングを配置しています.

できるだけ多くのストリングを空間にランダムに配置するため,レーザーの中心を原点とする極座標(r,θ)で各ストリングの位置を管理し,ストリングの配置を,施工誤差を考慮した直径1.6mmの円板のパッキング問題として求めています.

時計周りにn番目のストリングの角度θは,n-1番目のストリングに対し中心から接線を求めることで一意に求めることができます.一方,動径方向の距離rは,一様乱数を使用すると中心付近ほど高密度なストングの分布になるため,rを生成する乱数を操作することで,空間に一様満遍なく分布するようにしています.

メイン会場に至るアプローチには,常設の戦闘機や潜水艦が展示されており,来場者の多くはこの屋外空間を通過してメイン会場に至ることになります.そこで来場者の集中力や高揚感を高めるために,サウンドインスタレーションを行いました.サウンドデザイン、プログラミング、エンジニアリングは濱哲史さんが担当. サウンド用デヴァイス(スピーカーを吊るすための鋼管とハの字状の脚を特注クランプで留めた鋼製のユニット)は,スピーカーを吊るす脚としてデザインするだけでなく,周辺にある戦闘機や潜水艦のビジビリティ―をコントロールして配置することで,聴覚的にも視覚的にも来場者をメイン会場に誘うことを目指しました.

 

具体的には,アプローチ部分に5000点のランダムな観測地点をばらまき,それぞれから12600本のRay(視線)を放射し対象オブジェクトと衝突判定を行うことで,任意地点の視野に占める対象オブジェクトの割合を計算し,この割合の全ての観測地点の合計が最小となるように図のような2種類のサウンド用デヴァイスの配置を求めました.(図中の赤く表示された場所はビジビリティが高く,青い場所は低いことを示しています.)

会場には,ロリポップ・サーブ・テーブルやベンチなど,同じコンセプトを別のスケールで展開したファーニチャーを展示しました.

「一点から全てを見渡す」というコンセプトを基に,今回フィーチャーされたコンセプトカー「LF1-Limitless」を点群に分割し,(車の中心,地面の高さ)を原点として全てを点の極座標を求め,方眼図法により平面に展開したパターンをアクリルにエッジングしたテーブルも展示しました.

 

各ストリングの長さもランダムな長さとなっていることで,任意の高さで一様なストリングの分布となるようにしました.レーザーが上部に移動するにつれ光が当たるストリングの数は満遍なく増えていくと同時に,ベンチやテーブルは次第に暗くなります.

In collaboration with Lexus for Milan Design Week 2018