場所の魅力 / 空間的相互作用

場所の魅力とは?
場所の魅力はどのように決まるでしょうか.都市には,賑わいのある場所,閑散とした場所,広場や公園に面した場所などさまざまな場所が存在しますが,場所 の魅力を各場所の諸特性の利用者に与える価値を投影したものと考えるならば,都市に存在する駅や広場や商業地などの“要素”が任意の場所の魅力に影響を与 えると考えることができます.hclab.では,ある場所が利用者に与える魅力は,その場所と諸要素との人や情報の相互作用の結果であると考え,空間的相 互作用モデルをベースに,都市に存在する駅や商業集積地や広場など,さまざまな要素の相互作用の結果として与えられる場所の魅力を評価するためのアプリ ケーションの開発を行います.もし,場所の魅力を評価することができれば,建築の設計や都市の諸要素の配置に有用な知見をもたらします.

空間的相互作用とは?
空間的相互作用モデルは場所間に生じるさまざまな流動現象に説明を与えます.1950 年代後半に起こった地理学における計量革命は,地理学的な諸問題を数理的,科学的な分析手法を地理学に導入しました.その中で,空間的相互作用 (spatial interaction)という言葉はアメリカの地理学者アルマン(Ullman)によって初めて用いられ, 地域間の人やモノや情報などの流動現象による場所間の機能的繋がりを説明するモデルとしてはじまりました.今,地点 ij間の距離を dij 規模をそれぞれ piqj とすると, 2 地点間の流動量 は空間的相互作用モデルの一つであるグラビティーモデルとして,

gravity_formula

と表すことができます.このモデルは万有引力のアナロジーとして始まり,後に A.G.Wilson によって,統計力学のエントロピーの概念を用いて理論的に導かれました.

principle_00
分析の解像度に応じて、全ての地点において計算する.

principle_01
任意の地点(グリッドセル)と要素の相互作用の計算と評価値

principle_02
要素が2つある場合の相互作用の計算と、評価値. 評価値は速度の絶対値を加算する.

principle_03
要素が2つ以上の場合.

この評価モデルを使った都市評価スタディ

<人口統計グリッド(ordinary kriging)都市評価>   all_data_in_one_zm人口分布コンタ土地評価分布コンタvectors相互作用スカラー分布コンタ
人口分布コンタ、土地評価分布コンタ、相互作用ベクトル分布、相互作用スカラー分布コンタ

相互作用の評価要素/質量(引力)の入力 :

5922地点における居住者数集計(平成17年国勢調査による)を、クリギング(ordinary kriging)により106×100グリッドの地点に分布変換する。 居住者数集計データのうちの人口の最大値である地点の人口を分母としてそのグリッド(任意の地点)の質量とする。

相互作用の都市要素/質量(引力)の入力 :

作用要素は地上・地下鉄道駅とする。各駅の乗降者数の合計 を居住者数集計データのうちの人口の最大値である地点の人口を分母として質量を与える。 ※乗降者数は国土数値地図 交通流動量 駅別乗降数データ(平成20年調査)による

  <人口統計都市評価>
Tokyo_population_121230-1Tokyo_population_121230-1_statisticsTokyo_population_121230-1_zm

相互作用の評価要素/質量(引力)の入力 :

居住者統計地点をボロノイ分割した領域/居住者数 ※居住者数は平成17年国勢調査による

相互作用の都市要素/質量(引力)の入力 :

地上・地下鉄道駅とする/各駅の乗降者数の合計 ※乗降者数は国土数値地図 交通流動量 駅別乗降数データ(平成20年調査)による

  <グリッド都市評価>
Tokyo_300res_121222-2_tmTokyo_300res_121222-2_statistics

相互作用の評価要素/質量(引力)の入力 :

任意の地点(グリッドのセル)/一定質量(引力) とする(各グリッド質量0.01とする)

相互作用の都市要素/質量(引力)の入力 :

地上・地下鉄道駅とする/各駅の乗降者数の合計 (最大数を質量1.0とする) ※乗降者数は国土数値地図 交通流動量 駅別乗降数データ(平成20年調査)による